4000hit記念ss

空と携帯と君と僕

高2になってから初めてケータイという物を買った。
シルバー素材でカメラ付きの、何かと最新機器の引っ付いた最新携帯。
買ったのはいいけど、コレをどうしようか迷っている。
僕は本来人付き合いが苦手だから友達も少なく、ましてやメールを打ち合うほど仲良しの友達もいない。
じゃあ何のためにそんな不必要なモノを買ったんだ、と問われれば理由が存在するわけで…。
クラスで人気者の美作武雄が一年前、僕に言った言葉。

『このクラス全員のケータイナンバーが欲しいんだ。だって皆友達だろ?だーかーら、コータロも買ったら教えてくれよ。』

僕とあまり接点がないけど、決してのけ者にせず、上手くクラスの和を保てる彼。
僕はそんな美作に恋をしているので、言われた時に向けられた僕だけの笑顔が忘れられずにいたのだ。
しかも、幸いな事に、今年も同じクラス。
美作にどうやってこの話を切り出そうか、夜一人でベッドの上でケータイを眺めて寝転んでいた。
…乙女じゃあるまし。


彼と何を話すわけでもなく、かと言ってケータイ番号を教えるわけでもなく、そのまま三日があっさりと過ぎ去った。
いざという時になるとやはり恥ずかしく、彼をただ見てるだけになる。
「…はぁ。」
そんな事もあり、ただ無気力。今日初めて授業をサボってしまった。
天気がよくて、風が吹いてる。雲が風と同じ速度で流れていて全て違う模様が出来ている。
衝動的に‘残したい’という感情が生まれ、空に一番近い場所、つまり屋上で寝転がった。
「すっごー。空ってこんなに広いんだ。」
真上に浮かんで、真下で見る空と雲の関係。空ま無限に広がっていて、雲はソコに乗っている。
こうやってみていると不思議なもんだ。
折角のカメラ付きケータイなので空を撮る事にした。
レンズ越しに見る空は範囲が限定されているけど、その先の可能性を秘めているかのように大きい。
こんな空、美作と一緒に見れたらなぁ…・
「あれ、コータロじゃん!」
ビックリして、思わず飛び起きてしまった。驚きを隠せないまま扉の方を振り返ると以外そうに俺を見る美作武雄が立っていた。
「どうしたんだよ。お前もサボりか?」
さっきとは裏腹に今度は嬉しそうな顔で僕に近づいて来る。
「ちょっと…空が気になっちゃって…。」
「空?」
「こんなにキレイだから、写真に撮ろうっと思って…。」
と言ってもケータイのカメラなんだけど。
美作は僕の隣に座り、持っていた缶ジュースを飲み干した。それと同時に天を見上げ、さっきの僕のように寝ころんだ。
「すっげーなー!空なんて全然意識してなかったから頭から消えてた。コータロも寝転べよ。」
腕を引っ張られ地面に倒れると、真横には好きな人の顔。
…もしかしたら今で一生分の運を使い果たしたのかもしれない!
「コータロのおかげで今日はイイサボり日だな。サンキュ。」
「お礼を言われるほどじゃないよ。」
「コータロはいつもキレイなモノを発見するよな。俺、そんなコータロ結構好きだぜ。」
はにかみながら美作は軽く笑った。その一言で僕の心臓は高鳴る一方である。
勘違いするな、向こうの好きは友達としての好きなんだから。
「コータロ、携帯買ったんだってな!アドレスに番号、教えてくれよ。」
美作は勢いよく起き上がり、胸ポケットから自分の携帯を取り出した。
僕もつられるように起き上がり、手に握っていたケータイを彼に差し出す。
すると彼は僕のケータイに‘赤外線受信’という、初心者の僕にはわからない技で、お互いの番号を交換していた。
ああ、その行動にただ見とれるばかりである。
「はい、ありがとっ。早速電話ちょーだい。」
「今…?」
「そ。記念すべきコータロの着信。これでクラス全員がそろった。」
胸を躍らせて僕を見る。そんな僕は胸がドキドキして煩い。
電話帳検索で‘美作武雄’を出し、決定ボタンを押す。するとすぐに目の前で曲が流れ出した。
「はい、もしもし。」
「……」
電話なんかなくても、十分に話せる距離に僕達はいる。なのに電話で顔を見ながら喋るって妙な気分だ。
「コータロ、何か喋れよぉ〜。」
「だって電話なんかなくっても聞こえるんだもん。」
「そういうもっともな事を言わない。何事も経験だ。」
すぐそばに好きな人がいて、しかも二人きり。これを絶好のチャンスと言わなかったら、何ていうんだろう。
その時の僕はきっとその場だけの考えで行動をしていたんだ。
笑う君の顔に風でなびく髪。それを見てるだけで僕は自分の気持ちを押さえきれなくなった。
携帯でまだ通話中に、打ち明けてしまった。僕の気持ちを。
「…美作君が、好き…。」
「……え?」
「…一年の頃から…」
自分はあたかも夢の国のお姫様になった気分でいた。それを現実に引き戻してくれたのは美作の思いもよらない言葉である。
「なんだ、俺ら両思いじゃん。」
頭が冷めてきた頃、冷静に考えれば絶対に避けられると思った。
気持ち悪がられるとおもった。
でも彼の言ったセリフは寝耳に水な言葉だったので、どう反応したらいいのかわからなかったのだ。
「先に俺、告ったぜ、さっき。」
「…気持ち悪くないの?男に好かれて。」
「そんなのお互い様。」
「でも…」
おもむろに美作は携帯を一方的に切った。
「電話邪魔。お前も切れよ。」
「うん…。」
「さて、気持ちが通じ合った事だし、コータロが俺のどこに惚れたか教えてくれるよなv」
「え?」
空の下、太陽のように彼は僕を押し倒した。
「わぁっ。」
目元、次は頬にキスをされる。
顔に彼の息がかかって妙にくすぐったい。
「美作君も、僕なんかのどこが好きなのか教えてよ…。」
「‘なんか’って言うな。俺の目には狂いはないんだから。」
唇にもキスをされた。いいようにされてしまう僕は、力が抜けたように体が動かないのだ。
それに、体の奥が痺れてる…。
「そんな事、今度教えてやるよ。」
耳元で息を吹きかけるように囁かれ、僕は彼へと落ちていった……

 

               END

 

**4000HIT記念ss後書き**
まさか、4000までくるなんて思いませんでした。
なぎさちゃんに「何で夜中の2時まで起きてたん?」と問われて、答えはだしませんでしたが、白状いたします。
コレを書いてたからですよ!!!
5000ヒットいったらまた何か考えよう。小説は2000か3000ヒットごとにしよう。