ウソとヤクソク

 

次の日、俺は若さまと約束した喫茶店へと行った。
若さまが来るのを待ちわびて…待ちわびて…
結局、若さまは来なかった…。
騙される俺も俺だけど、悔しい!!俺の純粋なハートを返せ!!

それからと言うもの俺は、若さまの事が忘れられずに時は過ぎ、受験の季節を迎えた。
勿論、狙うはK大一直線。
若さまが在学してる大学だ。学校からは「安全を狙え」と言われたけど、どうしてもK大に行きたい。
もう一度、若さまに会いたい。
そして今年の春…俺は満面の笑みでK大の門を通れたのである。

 

「…若さま!!」
「……!」
入学して、なんとなく入った映像研究部。
部室に行って、申し込み用紙に記入してるところに彼は現れたのだ。
「え…誰?」
少しおびえ気味の若さま。だけど、あの頃と少しも変わっていない。
若草色のシャツが若さまの容貌を一層引き出して、春らしい。
「何、お前ら知り合いなのか。」
部長らしき老け顔のニーチャンが煙草を吹かしながら俺と若さまを見た。
「し、知らないよ、こんな奴!」
「お、俺!二年前に遊園地で若さまと出会いました、ミっちゃんです!」
「ミっちゃん…」
若さまは少し考え、思い当たる節があったらしく、納得の行く顔で俺を指指した。
「ああ、あの失恋ミっちゃん!!」
そうだよ!あの、失恋ミっちゃんだよ!
「なんだぁ〜若。また若い子に手を出したのか。」
「だってよぉ〜悟史。可愛い顔してへたれてたら、誰だって声かけたくなるじゃんかよ。」
若さまは俺に向き直り、俺の肩に手を乗せた。
そして嬉しそうに笑いかけてくれた。
「まぁミっちゃん。合格おめでとう。これから仲良くしよーや。」
その一言が嬉しくて、俺は思わず涙が出てしまった。
あの時、悲しみから俺を救ってくれた人。
それが若さま、こと平松若。俺の心を奪い去った人だ。
「と、ゆ〜事でミっちゃん!今夜は飲みに行くゾ!!!」
「…え?」
一人で思い出に浸ってると、いきなり若さまは首に腕をかけてきた。
もう、いく来まんまん。
「あ〜ミっちゃんよ、気をつけなされ。若はザルですからね。」
悟史というニーチャンは呑気に、他人事のように煙草をおかわりをしていた。
…秘密なんだけど、俺は酒は強くない。どっちかってーと、弱い。
「ミっちゃん!今夜はバンバン行くゾ〜!」
…どうか、オレンジジュースで勘弁してくれますように。


「だぁ〜かぁ〜らぁ〜俺はぁ〜、わっ、若さまが、来ると思って…」
予想通り、若さまはオレンジジュースで勘弁してくれなく、ビールにチューハイを俺に注ぎまくった。
そして俺は予告どおり、酔って酔って酔いまくり、この様だ。
「ミちゃんもしつこいなぁ。俺だって行きたかったんだけど、バイトがあって…」
居酒屋で二人きりで飲んで、おつまみを食す。
若さまなんて俺より酒を飲んでるのに、全然平気な顔。それどころか、余裕でスナズリなんか頬張ってるし!
「でっ、でもぉ〜俺は、ヒック、行ったん、だぞぉ〜!」
「わぁーったわぁーった。ほら、もう帰るぞ。ここは俺がおごってやるから。」
「若さま〜俺〜俺を捨てないで…」
「捨てないから!ホラ立て。帰るぞ。あ、オネ‐サン、お勘定!」
若様はベロンベロンに酔った俺を担ぎ、店を後にした。
陽は落ちきって、名残惜しそうに寒さが残っていた。
「おっもー。」
「俺の気持ちの方が重い!!」
「もう、ミっちゃんがこんなに酒弱いだなんて、知らなかった。」
俺は連れられるままに歩いた。
どこをどう歩いたなんて知らないし、覚えてもいない。
ただ、目が覚めたら知らない部屋だったのは覚えている。
回転しない頭のうえ、ゴジラに踏みつけられてるような痛さ。一体俺は、どこにいるんだ…
「ミっちゃん、起きたか。」
「ひゃっ!」
ビックリして、思わず声が裏声になってしまった。
あれ?そういや俺、裸?
「ああ、ソレね。ミっちゃんたらゲロ吐くんだもん。勝手に服脱がせちゃった。
ミっちゃんってイイ身体してるよね。」
「す、すいません…迷惑かけちゃって…」
「いいよ、別に。飲ませたの、俺だし。」
若さまはベッドじゃなく、ソファで寝ていた俺にタオルを差し出してきた。
「ホラ。風呂入って来い。いつまでもノーパンでいると、襲っちゃうぞ。」
半ば強引に浴室に入れられてしまった俺は、若さまの葛藤なんて全然知らなかった。

「…ノンケに手を出したら、後々辛いじゃん。」

俺の胸は、もう若さまでいぱいだと言うのに…
その後、俺たち二人はそろって遅刻しながら授業に出たのである。
少しは若さまに、近づけたよな。

 

 

                  END

 

**コメント**
7000hitsの記念小説です。本当は6000の時になんか書こうと思ってたのですが、間に合わず…。
今回のお話は「雨、時々恋」のお二人さんです。何気に気に入ってる若さま。
よくよく考えれば若さまの本名、鯉の高校時代の友人の名前とほぼ同じ!オフ友よ、気づきましたか?
いろんなお話でオフ友の苗字を弄ります。もうすでに二人は弄られてるしね。←苗字が思い浮かばないので(^^;)
では、ここまで読んで頂き、ありがとうございます!これからも「KOI桜」を、ヨロシクですv
※良い苗字、使って欲しい苗字などがあれば、拍手にて教えて下さい(笑)