明日も明後日も明々後日も
昼休み。僕は上宮君と織原君とご飯を食べ、図書室へ本を返しに行く準備をしていた。
もう10月だというのに、まだ日差しはきつくい。
でも元気盛りの生徒達の男子はたいてい、外でなんらかの遊びをしている。
サッカーやバスケ、校舎を使って泥棒と探偵やカクレンボなど。
僕は体を動かすよりは、ジッとしていたいタイプだからそれに加わらない。
っと言っても、僕なんかを誘ってくれる人はいないからね。
あ、でも二人いた。
「なぁ大野。外でバスケしようぜ。」
上宮君と織原君、二人で僕の傍までやって来た。
二人は自然と僕を誘ってはくれる。
彼らのおかげで何とか僕は孤立せずにすんでいた。けど、浮いてはいる。
「あ、ごめん…。図書室行くんだ…」
そう、これはもう決まりきっていたこと。
手に返却する本を持って、折角誘ってくれた二人の方を見る。
上宮君は、すぐ顔に気持ちがでた。『え!』って。
そして少し残念そうに肩を落とした。
一方、織原君の方はもう予想していましたよって顔。
「わかったよ。じゃあまたバスケしような。行くぜ、真都!」
「うん。今度は絶対だからな!」
織原君に引きずられるような格好で上宮君は僕に念を押した。
そんな二人に感謝の気持ちと、悪いなぁと言う気持ちになりながらも僕は、図書室へ足を運ばせた。
ガラっと扉を引くと、目の前には生徒が十人前後。
うち、カウンターに入ってるのが図書委員の人。そして司書さん。
ここの司書さんは男の人なのだ。
しかもまだ若いときてるもんだから、色恋沙汰大好きな女生徒にしょっちゅう囲まれている。
顔も人並みによく、身長も人並みにあるもんだからそれなりにモテテル。
でも本人は子供は相手にしない。(手を出したらそれこそ犯罪だ!)
それに、高校時代からの彼女がいるって、前に写真を見せてくれたしね。
僕にとっては、気の休める相手の一人である。
「司書さん、本ありがとうございました。」
「やぁ卯月ちゃん、待ってたよ。この本、面白かっただろ!?」
「はい!先が読めないストーリーで、意外な展開に釘付けでした!」
「だろ?絶対卯月ちゃん好みだと思ったんだ。」
気さくな感じで、少し歳の離れたお兄さんみたいだ。
だから、少し甘えてしまう…。
「で、今日はどの本にする?」
「えっと、前予約してた本…返ってきました?」
「ああ、昨日返ってきたよ。ちょっと待ってね。他の子に借りられないように隠してあるんだ。出してくるよ。」
そう言うと、カウンターから立ち上がり、奥の部屋に入っていった。
入る事数秒、彼は一冊の本を僕に手渡してくれた。
早速、僕は本の世界へと入る。
授業中は勉強に専念したいので(皆みたいに塾には行けないから)、我慢した。
帰り道、我慢できずに読んでしまうのが僕のクセなのだ。
「……の」
字が揺れて多少読みずらいけど、今はサワリだけなので別にいい。
「…オノ!」
誰かに呼ばれた気がしたけど、僕なんかと帰るような人はいないから、きっと気のせいだ。
「おおの!!」
「わっ!」
ガシっと肩を掴まれ、驚きのあまりに手にしていた本を落としてしまった。
…よかった。昨日雨降ってなくて…
「あれ?上宮君、どしたの?」
「大野、何回読んでも振り向いてくれないから、全速力で走って来たの。ほら、本。」
「あ、ありがと…」
前髪をかき上げ、頬が少し赤みを増しているのに少しだけ見とれてしまう。
「一緒に帰ろうと思ったのに…」
「別に帰る約束してなかったから…」
そんな恨めしそうに言われたら、何だか自分が悪かったって気がしてしまうじゃないか。
瞳が少し茶色がかってるからかな?
妙にそんな気になってしまう…・
「じゃあ、一緒に帰ろ!明日も明後日も明々後日も!だって大野一人なんだろ?」
「…一人なんて、もう慣れっこだよ。それに、同情や優越感に浸るのなら、そんな優しさいらない。」
なんて僕は皮肉ってるのだろうか。
わざわざ追いかけて来てくれた友達にそんな事言うなんて。
でも、誰だってそんな優しさはいらないはずだ。それは僕だって同じだ。
「俺は、大野の事、もっと知りたいよ。だからもっと仲良くなりたい。昼や、10分休憩だけじゃなく、もっと一緒にいたい。
それじゃダメか?」
僕は、何て答えたらいいんだろう…
上宮君の気持ちは素直に嬉しいんだ。でも、それを言葉にするのが恥ずかしい。
「ダメ…じゃないかも…」
「だろ?じゃあ、明日も一緒に帰ろーな!約束!」
「…うん…」
ありがとう、こんな僕を見つけてくれて。
「そういや!来月から期末テスト!!冬休みに入るってのに、難関が〜!!」
「でも上宮君、頭いいんでしょ?英語なんて勉強しなくても点取れるんじゃないの?」
「英語は良くても、数学だって!!」
「ふぅ〜ん…」
「あ、そうだ大野。一緒に勉強しようぜ。教えあいっこしよv教えあいっこ!」
期待満々の笑顔で言われたら、頷くしかないじゃないか、もう。
「俺んち来いよ。部屋、散らかってるけど、綺麗に片付けとくからさ。」
少し強引に結ばれた約束だけど、僕には嬉しい約束だった。
勉強する楽しみが増えたと思う、帰り道。
**あとがき**
授業中に考えた小説です。なんなんだ、卯月よ!お前、勉強好きなのか?????
不思議少年だね。
今時の中学生って、「泥棒と探偵」もしくは「ケイドロ、ドロタン」するんでしょうか?
これ、面白いですよねvv鯉は専ら泥棒役を好んでやりました(追いかけるの苦手)。
やっぱり、決める時って、足で円を作って「いろーはーにーほへと、」ってするんですか?
鯉もしてました。あと、だるまさんが転んだもしました。