「ねぇ中尾。」
「なに?」
あのキス、僕がしたキスに少々疑問は持ちながらも、
中尾は僕とイイトモダチとして続いている。
「僕、今日誕生日なんだ。」
一瞬、驚いた顔はしたけど、中尾はすぐに嬉しそうな顔をした。
「めでたいな!おめでとう!」
そして、あの日以来、一緒に帰ってる。
ホントは、僕が一方的に中尾に付いていってるんだけど、イや顔はされてない。
「じゃあどっか行く?ケーキぐらいなら奢れるぜ。」
どうして、そんなに優しいんだろ、この人。
君のクチビルを奪ったのは、目の前にいる僕なのに。
訊けば中尾も初めてのキスだったという。
「じゃあ、喫茶店でも行こう。」
誕生日の僕より、嬉々として歩き出した。
僕の誕生日を一緒に祝ってくれるって?
なんて幸せなんだろう。
「ケーキ、美味しかった?」
「うん!大好きな苺ショート。ごちになりました。」
本当はケーキなんて好きじゃないけど、君が祝ってくれた
ケーキだから、美味しかった。
「ねぇ中尾。もう一つお願いしたいんだけど、いい?」
「いいよ。」
「キス、してほしいな。」
あれ以来、話題に出そうとはしなかったキス。
好きな人からキスをしてほしい。
今日だけでもいいから、キスをして。
困った顔をしてる君を見るのは好きじゃないんだ。
ごめんね、困らせたりして。
わがままな僕を許して。
「冗談だよ。今日はありがとう。帰るね。」
キビスを返した。
「待って。」
「ん?」
振り向き際に中尾はキスをしてくれた。
口ではなく、額に。
思わずキスされた額を押さえてしまう。
「ちゃんとしたプレゼント、明日渡すからな。」
そう言って君は僕を置いて走り出した。
君が見えなくなるまで、その後姿を見送っていた僕。
キスをしてくれた。
それが僕への、最高のプレゼント。