「中尾は、キスと接吻、どっちが好き?」
「キスと接吻?」
授業と授業との合間の10分休憩。
キスと接吻、中尾はどっちが好きか尋ねてみた。
一見、どっちもキス。
口でするのには変わりはない。
「どっちも同じだと思うけど。」
もっともな答えである。
「じゃあ、どっちされたい?」
中尾にとっては不利な選択だ。
どちらを取ろうにも、同じ結果が待っているのだから。
「答えたら、してくるんだろ。」
ばれたか。
「やっぱりお見通しなんだね、中尾は。」
「清水はキス魔だからな。」
涼しい顔をして次の授業の用意をしている中尾は、本気にしていなかった。
キス魔なだけで、男にキスをするとでもお思いか?
「…されるとしたら、接吻、かな。」
少し考えてから、中尾は答えてくれた。
律儀な奴だ。
「あ、でもココではすんなよ!皆いるから。」
口を手のひらで押さえてガードをして、俺を見た。
「じゃあ、帰りに接吻ならしてもいいんだ。」
俺はそう許可をもらったよ。
「えっ!」
「あ、チャイムが鳴った。じゃ、放課後。」
接吻、だから口にしてやろうと、授業中はそんな事ばかり考えていた。
キスは今日もお預け。
今日だけ、接吻。
滅多に触れることのできない、片思いのクチビル。