この環境から抜け出したい。
家を出る条件、それは日本中に名の知れてる有名大学に首席で合格することだった…。
NOBODY LOVES ME
母親が死んですぐ、‘父親’という男が俺の家までやって来た。
当時、俺はまだ小学生で事情を飲み込めないまま、今の家―高永家―に引き取られた。
どうやら俺の母は‘父親’の‘愛人’だったらしい。
そんな俺を引き取る事を本妻は猛反対をしたが、主人の言葉は絶対であった。
本妻と‘父親’の子供は、今更腹違いの兄弟がいて、今頃、この家に引き取られるのにはどうでもよかったらしい。
そんな家庭に養子として入り、まず受けたのは本妻からのイジメである。
‘父親’は仕事が忙しく、家には寄り付かなくなり、残るは本妻とその子供。
父親は俺がイジメられてるのを知っていたが、見て見ぬふりを続けた。
中学3年生になる頃には本妻の息子・翔一が女の代わりに俺を抱くようになった。
逆らえば逆らった分だけ、おしおきをされる。ひどい時は一ヶ月監禁され(この間、情けで学校には行かせてもらっていた)、、好き放題に抱かれた。
本妻からの仕打ちも重なり、心身共に限界に近い状態まできていた。
この家から出たい
父親に話を持ちかけると、ある条件を出された。
それは、日本屈指の名門大学に首席で合格すること。
2年後、俺は父親の条件を必死の思いでクリアし、あの家を出た。
ただ合格するだけではいけない。トップで合格しなければならなかったので、翔一の目を盗んでは勉強の全てを頭に叩き込んだ。
ある意味、一種の賭けである。
学費だけは父親が出してもらってるけど、生活費は全て自分持ち。
今の生活にも慣れ、それなりに楽しい日々を過ごしていた。
ただ一つ、思わぬ誤算を除いては…
ケータイが鳴った。
丁度講義も終わり、机に出してある筆記用具を直している最中にソレは来た。
表示画面で誰からか確認すると…翔一だった。
「…はい。」
「夜、開いてるだろ。うち来いよ…。」
一瞬にして、テンションダウン。どうしてもコイツからは逃げられない。
まさか、俺の大学の近くにある医大を受験するなんて思いもしなかった。
「今日、カテキョのバイトあるんだ…」
こんな理由は、理由にはならない。
「何時に終わる?」
「9時…」
「それ以降でいい。必ず来いよ。」
一方的な約束をつき付け、翔一は電話を切った。
後に聞こえるのは『プー・プー』と流れる電子音。
その音が俺の未来を暗示してるかのようで、やけに耳についた。
「ホラ、しっかり咥えろよ…」
翔一のモノを加えさせらせ、唾液が俺の首を滴る。
「んっ…」
確かこの頃からだ、リストバンドをし始めたのは。
冬は長袖で隠せるけど、夏にはそうはいかない。
「足、開いておねだりしてみろよ。」
抗う事は許されない、翔一による絶対かつ服従。
絶対にこんな奴とは別れてやる。それだけは本心だ。
だけど今は、そのきっかけとなる光が見えないだけ…
また一年、そんな生活をズルズルと続け、春が訪れた。
友人と構内を歩くと、女性達の黄色い声が俺たちを駆け抜けて行った。
「ねぇ、今年の新入生にモデルよりかっこ良い人、いるんだって!」
「知ってる!私も見た!すっごく身長が高いの。笑顔がステキ〜!!」
「付き合ってる人、いるのかな?」
「さぁ。イチかバチか、告白してみたら?あ〜でも彼なら、遊びでもかまわない〜!!」
そんなにザワメクものの事かと、その時はアホらしく思った。
「なか作田。本当にそんな奴、いるのか?」
「有名だぞ、高永。俺も一目見たけど、ありゃ男でも惚れるって。」
「作田って彼女いるのに、男にも手を出すんだ。奈那子ちゃんに言ったろ〜。」
「な、冗談だって!」
作田は俺の友達の一人で、その中でも特に仲が良く、しょっちゅうつるんでいる。
そして俺と翔一の事まで知っていて、何かと相談にものってくれて、俺の逃げ場所となっている。
「あ、ウワサをすればカゲ。あそこにいる奴がそうだぜ。えっと、名前は確か〜…」
「きゃ〜〜vv早見健太さんよ〜〜vvv」
女の子が一人、目当ての彼を見つけ、突進をして行った。
「そうそう、早見健太っつーんだ。」
作田は彼を、珍獣でも見るかのように遠めから指を差した。
「………」
そう、本当に一目ぼれだったんだ。
初めて‘光’と言うものを見た気がした。
翔一のせいで男はおろか、女とさえ付き合ったことのない俺は、生まれて初めて告白と言うものをしてみるのである。
告白は思ったよりも勇気がいったので、どう言っていいものかわからなかった。
でも俺は、この人を捕まえたいと思った。
もしかしたらこの人が俺を救ってくれるかもしれない…。
そんな直感があり、それは俺に勇気を与えてくれた。
俺はソレを信じるよ。外れることなんて、滅多にないからね。
あとは、勝利の女神が俺に向いてくれたら……
END
**あとがき**
なんとなく、書いてみました。何気に好きなこのシリーズ。
実は「健太×友行」も好きなんですけど、「翔一×友行」も好きなんです。
ウラ設定とありまして、健太は幼い頃に友行と一回、出会ってあります。
これもその内書けたらなぁ〜と思いますね。