I listen to my favorite voice on the radio.

 

俺の恋人は同じ高校の放送部。

いろんなコンクールで優勝し、その実力は学校中に知れ渡っていて今では地上派パーソナリティを務めるほど。

で、そんな彼とケンカをして約一週間と三日。

お互い目も合わさないし、近づかないし、口も聞かない。

あまつさえアイツときたら、これみよがしに女の子とも、男の子とも仲良くしてる姿を俺に見せ付けてくるしまつ…!

最悪だ。

俺は早くこんなケンカを終わらせたいので、自分から謝ってやる事にした。

俺っていい奴。

 

『皆さんコンバンワ。今日も7時から8時までの一時間、俺とお付き合いして下さい。

まず初めの曲は…』

…ケンカ中でもかかさず聞いていたあいつがパーソナリティを務めるラジオ番組。

ドキドキしながらラジオをつけ、いつも通りに勉強をする形だけは繕う。

一応、こう見えても受験生なもんでね。

爽快なオープニング曲が流れて、CM。

そして、あいつが少し喋ってから今流行りの音楽を流す。

いつものパターンだ。

『今日のBBSのテーマは‘今心に残ってる○○’。丸の中には何か言葉を入れてね。BBSも待ってるけど、リクエストの方も待ってるから。』

…何チョーシに乗ってるんだよ、ばーか。

俺は自分の部屋にパソコンがないので、携帯でラジオのサイトまで行って、そこでカキコをする。

机に頬杖を付きながら、片手でボタンを操作する。

こうやって見てると、結構皆書き込みするんだな。俺はあんまししない。

だって、一応、‘身内’で‘恋人’なわけだし。少し恥ずかしい。

こんなにたくさん書き込んでるけど、幸運にも読まれるのはたったの一握り。

俺は、何回か読まれたことがあるんだ。

もちろん、あいつのおかげで…


番組も中盤に入り、あいつのトークが入る。

『では、BBSのカキコを覗いてみますね。HN・みかんさん…』

ちがう…

『ポンチさん、受験勉強頑張って下さいね。俺も、一応受験生なので、勉強頑張ります。』

お前、全然勉強してねーじゃねーかよ。俺は知ってるぞ。

『えっと、次は…HN・アッキー…』

声が変わった。気づいてくれたみたい。

『ナセさんこんばんわ。俺は今、恋人とケンカしています。一週間お互いを無視の状態。

結構苦しい(涙)なので、いつもこの番組を聞いてる恋人に、この場を借りて謝らせて下さい!

ナっちゃん、ごめん、俺が悪かった。明日の朝、いつもの場所で待ってるから。俺の心に残ってるのは、恋人の笑顔です。』

…これでうまくいっただろうか…

明日、絶好されてたら、それこそゾンゾコ。公共の場でこんなマネしたなんて…

『アッキー、俺も悪かった、ごめん。って恋人も言うと思うよ。また、結果を報告してね。』

あいつは、途中まで本気の声を出してたけど、それを演出としこの話題から去った。


「秋元、昨夜めちゃビビッタやんか!」

「―ごめん…」

「心臓止まって、素になりかけたわ!大阪弁出るかと思ったで、ほんまに。」

「だから、」

「でも、嬉しかった。好きやで、秋。」

朝、恋人は俺より先に待ち合わせの場所で、俺を待っていてくれたのだ。

 

『セナさん、恋人と仲直りしました!とても嬉しい!幸せ!』

そして今夜、俺は懲りずにBBSにカキコをしに行った。

あいつ、俺の記事はできれば優先的に読んでるのを、次の日に教えてくれた。

公私混同はよくないんだと思うけど、正直、嬉しい。

『アッキーが嬉しいと、俺も嬉しくなります。では、今日は‘ナセ君のキラキラ.com’は終わりです。

また明日!』

うん、また明日…な。

 

           END

 

**あとがき**
鯉はよく、ラジオを聞いてるので、こんな話になりました。鯉もいくつかBBSでカキコして、読まれた事もありますvv
それよか、この番組名、キラキラ.comってなんだよ。わかりずらいと思いますが、キラキラとcomの間に「.」があります、ドット。
だから、読み方は「キラキラドットコム」なんですよ。
ネーミングセンスがないんですよ、自分…。