サクランボのキッス

 

クーラーが冷え切っている高校一年A組の教室。あずさは友達数人と雑談していた。

「なぁ、都津川はできる?」

「え…そんなのできないに決まってんじゃん。それに、そんなんできたからって何の特があるんだよ。」

昼休みの半ばを過ぎた頃。取り出して見せてきたのはサクランボのヘタ。

「これを口に入れて結べたら、キッスが上手いんだって!」

思春期の男の子にありがちなソノ手の話。

「それってディープキスってことだよな。」

まるでこの周囲だけが熱気に満ちているような気さえしている。

そんな中、クラスの中心的人物の姿が見えない。

川澄岬。ただ今クラブの用事で出張中。本当はあずさも一緒に行くって言ったのに、追い返されたのだ

…「暑いから教室にいなさい。」と。

みんなと一緒にいるのは確かに楽しい。けど、何か物足りないのはきっとソノせいだろうと、あずさは思った。

「なぁ、都津川、お前って実際川澄とどこまでいってんの?」

「なに、真佐志。気になるの。」

「普通気になるって。学校のかぐや姫がどうやって乱れるか、見てみたいよなぁ〜。」

「なぁ〜。」

一同、声を合わせる。

「そんなの、教えるわけないだろ!」

「教えろって〜」

「あ〜うるさい!」

まとわりつく声に視線。好奇心の眼で見られるのは好きじゃない。

ガラっと教室の扉が開いた。

「あずさv」

跳ねる声で抱きついてきたのは勿論、岬。

岬の腕が肩にまとわりつく。それはあずさにとって安心できるのだ。

「おかえり。」

「ただいま。」

教室の、しかも皆のいる前での触れるだけのキッス。

ちゅっ。

「はいはい、もういいですよ。」

もう軽いキスぐらいなら慣れてしまった友達一同。

「ところで岬、お前これできるか?」

これ、と言って差し出したサクランボのヘタ。

「知ってる。口の中で結べたらディープキスが巧いってやつだろ。」

そういってヘタを受取り、口の中へ放り込む。

モゴモゴすること数分。丁寧に口から取り出されたソレ。

「すっげーー!できてる!」

「お前ってエロいんだな。」

「コツを教えてくれよ!」

口々に言われ、岬はとてつもない一言を言った。

「あずさとキスをするようになってから、できたんだv」

そして、その場にいた全員の目が点になったのは、言うまでもない。

「み、みさきぃぃ〜〜!!!!!」

「きゃぁ〜vv」

 

その後、学校中に‘都津川あずさとキスをすると、キスが巧くなる’という噂が流れたのは…

真実か否か?

 

 

 

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