冬が終わる頃
「あっ、だめ…。そんなに……、あっっ。」
大きいけれど、たくましい俺好みの手が肌の上をすべる。一体何時間ベッドの上でじゃれあってるいるんだろう。
いきなり動きが激しくなり、快感が体中を駆けめぐる。なのに、頭がソレについていけない。
「ね、な…んでっ。岬、きょう…いつも、あっ。より…、はげしっ…んっ。」
「ごめん、あずさ。止まんない…。」
音をたてるベッド。下から見上げる岬の顔は少し切羽つまってて…。
「いいよ、あずさ。もうイって…」
奥まで突き上げられ、二人して同時に絶頂を迎えた。……そして俺はいつもの事ながら、失神をしてしまったのだ。
「ん…。」
何か冷たい物が頬の上に落ちた。そして何故か少しだけだが浮いた気がした。なんだかとても居心地がいいんだ。そう、昔持ってた抱き人形のパンダのパンちゃんみたいに。後ろにパンちゃんがいるみたいだから、体を反転させて、抱きつく。
「パンちゃん…。」
なのに、喋らないはずのパンちゃんが喋ったのだ。俺のよくしってる声で!!
「パンちゃんって誰だよっ。」
「えっ、岬!?あ、そっか。ここ、岬の叔父さんの家だっけ。」
俺が受験しようと思ってる大学の下見に高後を離れて、俺達は今、神奈川県にいる。神奈川県に岬の叔父さんが住んでいるので、3日ほど泊まらせてもらっているのだ。
「本当、よかったな〜。岬の叔父さんが旅行中で。」
じゃなきゃ、こんなことできやしない。
あ、今気付いたんだけど俺って後ろから抱きしめられてる格好になってる。岬の手は俺のお腹の辺りで組まれてて。それに岬、自分だけお風呂に入ったんだ。さっきのは、その水滴だな。
「そ・れ・よ・り!パンちゃんって一体誰だよぉ!!俺の知らない所で浮気してるんじゃ…。」
「馬鹿!パンちゃんって言うのは俺が小さい頃大切にしてたパンダの抱き人形だ。それに、浮気なんてできるわけないだろぉ」
おお。途中から声が小さくなってしまった。
「?なんだよ。ぼ〜っとして。」
岬はポケ〜とした顔でこっちを見ている。
「か…」
「か?」
蚊が飛んでいるのか?
「可愛い!!パンダをギュッて抱きしめてる岬を想像したらまた元気になちゃったかも!」
「ちょ、腰押し付けないで…。」
息が上がってしまう。岬の手は俺の下腹部を触り始めた。後ろからは自己主張を強めた岬君が攻めてきて、前は悪戯されて。
「んっ、あんっ…。」
「お嬢さん、起きる前にもう一度良い事を俺といたしません?」
「…喜んで。」
結局、ちゃんと起き上がれたのは昼も過ぎたおやつの時間だった。明日には高後に帰るてのになぁ。
季節は巡り、秋になった。今しがた職員室に呼ばれたばかり。
『少し成績がおちてきているな。このままじゃお前の行きたい大学が難しくなるぞ。』
この頃、頑張っても成績が上がらない。イライラする。一応願書提出までまだ5日あるけど、考え直す気は全然ない。
「下向きになっただめだっ。頑張らなきゃ!!」
一度決めた夢を諦める事なんてできやしない。
「よし、今日にでも願書を書いてさっさと送ろう。」
急いで教室に駆け込む。すると俺の席に見慣れた姿があり、しかもその周りに数人の群。
「岬、人の席で何やってるんだっ。」
ポコッと頭を軽く叩く。
「あ、やっと帰って来た。こいつらと少し雑談を…。あ〜もう、散れ!散れ!」
「はいはい。愛しのハニーちゃんが帰ってきたもんな。俺らは単なる捨て駒さ。」
「よくご存知で。」
「なんか悪いな。こいつの面倒みさせて。」
「なっれこよ。」
バイバイと手を振り、鞄を持ち上げる。寮に帰るまでの短い距離を6年間、岬と歩いてきた。
「なぁ、今日は銭湯行く?」
「いや、いい。」
「ふぅ〜ん…。」
いつもなら飛びついてくる話なのに今日はやけに大人しい気がするな。
「なぁ、今日部屋に行ってもいいか?」
「?うん。別にいいけど。同室の奴どうする?席はずしてもらう?」
「うん。」
素直に頷く。いつもならなんにも聞かずにいきなり部屋ん中に入ってくるくせに。どうして今日はこんなにかしこまっているんだ?なんだか明るい話題もなく、今日始めて沈黙したまま、それぞれ部屋に帰っていった。
それからまもなく。何か思いなやんだ顔をして岬がやってきた。岬か来るなり部屋のほぼ中央に位置するテーブルの前に座った。
「何だよ。えらいかしこまって。」
「…あずさは俺と一緒の大学に行きたい?」
「そりゃもちろん。できるならね。でもお前、実業団の話も大学推薦もきてるんだろ?弓道の。」
岬の頭ならどこでも大学よりどりみどりだろうけど。オマケに弓道は高校生チャンピョンときたもんだ。
ペットボトルの口を空け、中の液体を飲む。炭酸が口の中ではじけ、とても美味しい。
「それに、岬の進路だし、俺に合わせなくてもいいよ。好きにしたらいい。別に岬が俺と一緒の大学を受けず、違う大学、実業団に行ったとしても怒らないよ。」
少し寂しくなるけどな、なんて言葉にはしなかったけど俺の表情を見ればわかるだろ。
「あずさ、俺…。星川からもどうだってきてるんだ。」
「ふ〜ん。そこって弓道有名なとこじゃん。」
だから今日はあんまり元気がなかったんだな。星川なんて世界レヴェルもいいとこだぞ。
「そこに、俺がずっと憧れていた選手がいるの知ってるよな。その人が俺を欲しいと言ってくれてるんだ。…とても嬉しいんだ。でもあずさと離れるのが、嫌でしかたない。」
切なそうに顔をゆがめ、俺に訴えてくる。俺はお前の進路だし、全てにおいて口出しする気はない。でも、助言ぐらいは神様も許してくれるかな。自分の事で手がいっぱいだけど岬の事は助けてやりたい。
俺はギュッと岬を抱きしめた。俺より少し大きめの体はほんのりと冷え切っていた。
「俺は神奈川の大学に受かったら寮にはいるよ。すると岬とはあんまし会えなくなるな。そんなの俺だって淋しい。でも、岬の選んだ答えなら俺は納得するし、応援だってする。星川にいったとしてなかなか会えなくなるからといって俺の気持ちがお前から離れて行くとでも思っているんだろ。」
「…それも考えた。」
「俺は、そんな事がないと言い切れるぞ。」
だってこんなにもお前しか見えてないんだから。
それから岬は決心し、
「俺、星川に行く。あずさの言葉で吹っ切れた。ありがと。何でウジウジ悩んでたんだろう。あずさって魔法使いみたいだな。」
ニッコリと俺の目の前で笑った。…いってみれば‘お日様の笑顔’かな?その笑顔に見惚れてたら不意打ちの、キス。チュッと触れるだけの。
「み、岬…?!」
なのに、いまだ慣れない。
「可愛い。俺、あずさのためだったらなんでもしてあげたい。」
そして、またキス。今度はお互いにアイコンタクトをかわしながら。
「そしたら、俺の受験科目を教えてもらおうかな。」
「それには保健体育入ってる?」
「くす。さぁ、どうだったかな。でも、知ってても損はないし教えてもらおう。」
いつの間にか俺は床に押し倒されてて顔が近づいてくる。今日、同室の奴には夕ご飯まで帰って来るなと言ってあるから、まず大丈夫だな。鍵も掛けてるし。
……こんなことより俺、勉強しなきゃ。後でちゃんと教えてもらうからな。
正式に岬の大学入学が決まったのが12月。そして俺は追い込みの真っ只中。授業中は勿論のこと。お風呂にはいってる時でさえ単語を覚えてるかどうかとか、数式はどんなんだったとか、寝る以外はまず勉強だ。周に4日は岬に部屋に泊まってカテキョをしてもらってる。あいつって頭は国立並にいいんだもんなぁ。なのに俺と一緒のクラスがいいとか言って、進級テストの時手を抜くというフザケタことをいっつもしていた。
「なぁ、ここの訳の仕方わかんない。」
「ああ、このgives its culture such dynamism and flexibility is the from its people.のgives はOにO2を与えるっていう使役動詞で、両方のitsは同じ言葉を表しているんだ。」
教え方だってすっごくわかりやすいし。そろそろ期末だってのに、俺の面倒まで見てくれてる。
窓の外にはチラホラと雪が降り始め、闇が強調されるかのようだ。
「なぁ、先生にはなんていわれた?大学のこと。」
「ん〜、なんか五分五分だって。安全性を考えろっていわれたけど、俺はあそこしか受ける気はないって断った。」
ノートから目を離さずに答える。
「獣医になりたいんだよな。」
「そう。」
「あずさは動物大好きっ子だもんな。デートの時は必ずペットショップには行くし、ワンワン王国とか、動物園とか、よく行ったもんな〜V」
思い出し笑いというものを岬はしており、クスクスと肩をならす。岬だって俺に劣らず動物大好きなくせに。
それにかならずおそろいの小さな動物の人形は買ったもんな。だから俺のベッドの上も岬のベッドの上も人形だらけ。
ずっと勉強に集中していたので、もう夕方になっていたのもきづかなかった。
「あずさ、散歩にいこ!気分転換気分転換♪」
いっつも俺の集中力がきれかけた頃合に古文転換を提案する。それが散歩の時があればお茶の時もあるし。そして全く別の時もある。今日は散歩みたいだな。
俺の首にマフラーを巻きつけコートを着せる。なんか‘恋人’じゃなくて‘親子’の仕草みたい。
されるがままになってる俺もどうかと…。
「さあ、しゅっぱ〜つ!」
「あ、待って。鍵しめないと。」
急いで部屋に鍵を掛け、岬の後について歩く。部屋の中とは違って、体中に寒さが伝わる。そりゃ、部屋の中は暖房がきいてて、温度の差は当然なんだけど。
「寒い。」
「雪が降ってるからね。それに高後は山の上に建てられてるしね。」
ぎゅっと、手を握ってくれた。岬の手は俺より少し大きくて、包み込んでくれる。その体温が熱くて、なんだか淋しくて。
散歩道を時間をかけてゆっくりと進む。流石にこの寒さじゃ外に出ている生徒はいない。
「あと少しで冬休みだな。やっぱり実家に帰るのか。」
「うん。岬は山口だっけ。結構離れるな…。」
岬も俺と同じことを考えてるって、わかるよ。冬休みの次は卒業だって。冬にが終わって、春が来たら俺らはあんまし顔をあわせる機会がなくなるんだ。
いやだな…
「え?あずさ、何か言った?」
「俺、やだよ…。」
「?あずさ?」
きっと今の俺の顔、ひどいにちがいない。だって自分でもわかるんだもん。温かいものが頬を伝ってるって。
「俺、ずっと岬と一緒がいい…。お前と離れるなんてできない。…卒業なんてしたくない。」
とうとう言ってしまった本音。岬の顔がまともに見れず、うつむいてしまう。顔を手で隠そうにも岬が手を離してくれない。
「あずさ…。」
だんだんと雪はきつくなりだして寒さもきつくなる。俺は嗚咽を抑えようと必死でそれどころではないんだ。
「あずさ、こっち向いて…。」
涙でグチャグチャの顔を上げると頬に触れるだけのキスをしてくれた。
「俺だって、あずさを手放したくない…。」
俺、こんなにも人を好きになったのって初めてで、どうしたらいいのか良くわかんないんだ。
「あずさ、泣き止んで。でないと俺どうしたらいいのかわかんなくなる。」
「う、うん。」
涙腺が止まらない。絶対目真っ赤だ。
これ以上ここにいたら風邪を引きそうなので、俺達は寮に帰った。
期末てすとも無事に終わり、とうとう冬休みに突入する。浮かれてる奴もいれば落ち込んでる奴だっている。
「おれ、あずさと一時的でも別れるなんて、たえきれないっ!」
「はいはい。新学期、またあいましょうね。」
「冷たい!!!」
後ろからもたれ掛けられてて、こっちはおもたいんだぞ。寮から見える校門は1,2,3年生が出て行くのにごったかえしている。ふふ、玩具箱を逆さまにしたみたい。
「そろそろ行くよ。俺、新幹線指定だから。お前は飛行機だろ。」
「…うん。」
全ての点検を終え、寮を出る。駅まで行くバスは生徒の長蛇の列。
「わぁ、いっぱい。」
「お前って、6年間同じ感想を言うよな。面白いやつ。」
「そんなの覚えてるあずさだって、変な奴だよ。」
プウと可愛く頬をふくらますのが少し幼く映る。
「岬のその顔、すっごい可愛い。キスしてやりたくなる。」
「じゃあ、して!」
「わぁ、馬鹿!人が見てるだろ!」
どかっっとビンタが左に命中。
「いった〜いっ。」
「ふん。」
元弓道部マネジャーの腕力をなめるなよ。
別れ際に「毎日電話をしろよ。」なんて無茶なお願いを今年もした。その無茶なお願いを必ず叶えてくれるお前こそ、俺にとっては魔法使いそのもの。
こうして俺は出雲へ、岬は山口へと帰っていった。
新幹線の中で過去問をめくるのは勿論のこと。頭の中では勉強してるんだけど、その片隅で違う事を考えてしまう。窓には鏡のように自分の顔が映し出されている。
「…変な顔。」
一体何を心配してるんだか。
「くす。」
「?」
隣で笑う声がした。
「いや、失礼。」
気付かなかったけど、俺の席の隣にはなかなかの好青年が座っていた。大学生くらいだろうか。
「あまりにも君が可愛い事を言うから、つい。」
「あ、そうですか。」
あんまり知らない人とは関わりたくないな。だからそっけなく返事をしてしまった。なのにこの男は興味深そうにこっちを覗き込んできた。
「へぇ〜、潤大受けるんだ。頭いいんだ。」
「なんですか、あなた。失礼にもほどがあります!!」
「…俺、君の事知ってるぜ。都津川あずさちゃん。」
「?!!」
なんで知ってるんだ、俺の事。こんなずうずうしい知り合いなんて、あいつしか知らない。
でも、よくよく顔を見てみると、見たことはあった。どこだっけ…。雑誌でも見た記憶はあるし、生で見た記憶もある。
「!篠井タツヤ選手!」
「ピンポ〜ン♪大正解♪」
そう、思い出した!最年少で大会の記録をぬりかえたっていう、弓道の選手。そして、星川大学に在学していて、何より岬の憧れの人。
そしてあの時、紺野のカバンを強盗から取り戻してくれた張本人。
「俺、すぐにあずさちゃんだってわかったよ。」
「どうして。」
だって俺とタツヤ選手は何の面識もないし、会ったこともないんだ。
「高後の敏腕マネだって、結構有名だったよ。」
「俺一人しかいなかったから。」
「ふふ、それもありえるかな。」
人なっつこい笑顔だ。今は第一印象よりマシになったかな。
「本当はね、結構見てたんだ。個人的に。結構大きい大会に偵察しにきたり、高後がでる大会とか俺見にいってたりしてたからさ。高後には川澄岬がいるだろ?それ目当てでもあったんだけど君のことも目当てでいってたんだ。」
この人が、岬を欲しいと言ったひと。
「何気に告白ですか。物好きですね。」
「川澄岬には負ける物好きだけどな。来春からは川澄は俺の後輩…か。淋しくなるな。」
からかうわけでもなく、おどけるわけでもなく。なんて答えたらいいんだろう。
「寂しかったら俺の胸の中においで!!夜だって相手にしてあげる!」
今度は完全にふざけているっ。だって抱きついてきて唇を奪われたんだから!容赦なく、ビンタをお見舞いしてやった。
「結構!!間に合ってます!!」
「いった〜。…ふう〜ん。やっぱね〜。」
しまった。もしかしなくてもばれてしまった?俺と岬の関係。
「おっと、もう島根だ。これ、俺の携帯番号。いつでも電話してね。じゃあ、お先。」
さっさとメモだけを俺の手に残して駅のホームから消え去っていた。残されたメモには番号、メルアドが書かれていた。
家に帰ったからといって別に何もするわけでもなく、自分の部屋に閉じこもる。母親は仕事だし、父親は単身赴任で2年間フランスに行ってたまに帰ってくる時がある。帰って来ても、俺は高後にいるから全然会えない。家の留守を守ってるのは弟と言っても他言はないと思う。
その弟が駅まで迎えにきてくれていたので、一緒にタクシーで家まで帰った。
月日が流れるのは本当にはやい。だってもう新年を迎えたのだから。お正月には母も父もそろって、まさしく家族みずいらず、って図になった。でも、俺は灰色の受験生だし、楽しもうにも素直に楽しめない自分が悲しい。桂、お前もあと3年後はこんな気分になるんだぞ。
「母さん、俺勉強してくる。」
「そう。あとで夜食を作っていくわね。」
「ありがとう。」
3階にある、自分の部屋。自分の部屋といえばたいてい落ち着くんだけど、
「なんだか落ち着かない。」
理由はわかってるんですけどね。岬からの電話はいつも夜の11時ぐらいにかかってくる。その時間をご褒美としてそれまで勉強。
一心不乱に勉強をする。そして、少し休憩しようとした頃に電話のベルが鳴る。コードレスだから俺の部屋に電話がおいてある。
「はい。」
『もしもし、あずさ?』
一日振りの愛しい人の声。その声を聞いただけで安心できる。
『俺。』
「そんなの言わなくたってわかるよ。馬鹿だなぁ。」
『あずさに関しては馬鹿でけっこう!あ、今こっちな、雪ふってる。あずさと一緒に見た雪には劣るけど。』
「ふふ、なにそれ。雪なんてどこで見たって同じだよ。」
違う、と言い切って顔を膨らます岬が目に浮かんでくるよ。いっつも30分程話してから切るんだけど今日は違った。岬が、じゃなくて、俺の方が。
「ね、ねぇ、あと少しだけ、大丈夫?」
絶対に気付いたはずだ。俺の声で。こんなに甘えたような声を出せば俺が何をしたいかがわかるに違いない。
『…あずさ。』
岬の声も変わった。
「ごめん。でも、もう限界。岬の事を考えるだけでも、イきそうになる…。」
『いいよ、俺も毎晩あずさの事考えながらしてる。』
「うん…。」
『あずさ、服めくって、俺がしてたみたいに自分で触ってみて。』
岬はどんな風に俺に触れてきた…?指はどんな動きをしてきた?
転がすように指で弄るとあっけなく俺の部分が反応した。
「あっ…。」
ひねって摘むと、俺の乳首は(岬曰く)可愛く尖がった。先端にふれると気持ちよさが全身にひろがる。岬がいたら舐めて舌で転がして、もっと気持ちよくしてくれるのに。
ジンジンと快感が大きくなってくる。下の方もすでに疼きはじめる。
『いいよ、あずさ。今度は下を擦って気持ちの良い所を触って。』
「うん…。ねぇ、岬、も、いっしょ…に、して、あっ。る…?」
自分でしてるのに岬の声のおかげでよけいに感じてしまう。
『岬の肌の感触や体温を思い出してる上に、そんな声出してたらしてないわけ、ないだろ。』
クチュ、とヤラシイ音が耳に響いた。岬によって発掘された敏感な場所は、ココと、ココと、どこだっけ…。
裏を執拗以上になで上げる。蜜がとろとろと滴り落ちる。それは、尽きる事がなく、絶えることがない。
「はぁ…あん。みさ、き…。きて…、」
腰が揺れる。パイプ椅子なのでギシギシと音が鳴った。
前を弄くってた手は岬の許しを得て後ろを触っていた。そこはもう熱くなってて、2本の指を締め付けてくる。
自分でもはっきりとわかるほどに熱くて、疼く。岬はこんなのを触ってたんだ。
毎晩、ここに岬のおっきいのが入ってたなんて、信じられない。
それ以上にここがこんなに軟らかいなんて、知らなかった。岬がよく言うから、絶対ウソだって信じてたのに…。こんなのって…。
「やぁ、もう……限界…。おねが…いっ。イかせて…。」
一人でやるのはご無沙汰で、そんなに感じないとおっもてたのに…。全然的外れだよ。
岬、リードうまい…。
『いいよ、あずさ。イって…。』
その声を合図に、ひときわ大きくしごいた。
「あっあっあっ…」
『くっ、あずさ…』
二人して、同時に放射した。
あとに残るのは気だるい時間と、恥ずかしさ。自分から誘っただけでも恥ずかしいってのに。
しかも電話でってのが、俺にとって初めて。
「あっ、どうしよう!床汚しちゃった!!」
何てばかなんだ。テイッシュぐらい用意しとけよ、俺。
『あ、あずさ、そんなに気持ちよかった?実は俺も用意してなかった。だって急だったもんな。』
「わ、悪かったな!後始末するから切るよ!」
『あ、待って。明日もしような。』
「しない。…一緒に初詣に行きたかった。じゃあね!」
一方的に電話をきってしまった。部屋には少し臭いがし、さっきまでの情事が思い出される。
「窓…。」
開けると冷たい空気が漂ってきて火照ってた身体に気持ちいい。床には透明な液体。早くふき取って勉強しよう。そろそろ桂が部屋に来る頃だから。
「しない。うるさい。」
「ねえ、少し休まないと、ね?」
「明日が本番なんだ。解ってるだろ。」
潤大近くの民宿に泊まりにきている。岬は付き添いとして。
「明日に全てがかかってるんだ。話し掛けないで。」
過去3年間の過去問を必死になって解く。過去問はギリギリ合格ラインに到達はした。
岬の力があったっていうのは勿論だけどね。
岬のウルルンお目々が必死に訴える。しょうがない。少し休んでやるか。そのかわり、ジュース奢ってもらうからな。
「わかった。あと1時間で終わらせるよ。」
「うん!」
前日にまでしようなんて考えてないことを祈るよ。
2月初めに卒業式が行われ、卒業生代表で答辞を読んだのは予想通り岬で。おもわず俺は泣いてしまった。もうこの学園生活には戻れない。楽しかったこの6年間が終わってしまった。全てがここから始まったんだ。式が終わった後、俺と岬は校舎の中にこっそりと進入した。
「結果発表の日、ついてこいよ。」
「わかってるって。」
空気がシンミリしている。
「泣いたあとが残ってる。」
ぺろっと涙の後を舐めた。ここでの、最後のキスはとても切なかった。
キーンとする寒さの人ごみのなか。大きな紙が貼り出された。そこに自分の番号を探す。周りではもう発見した人が嬉しさのあまり絶叫してたり、落ちた人がないてたり。一体俺はどっちに転ぶだろう。
見る勇気がなくて岬の手を握った。
「大丈夫。受かってるって。番号は?」
「そんなに簡単に言うな。競争率は高かったんだぞ。しかも俺は五分五分のライン。」
あ〜、神様仏様!どうか!!だって俺の受験番号っていったら超不吉の0794…おー泣くよって言えるよ。泣くよってことは落ちるって事だろっ。
「よしっ。」
とうとう決心をし、番号を探す。所々抜けてる番号が恐い…。ああ、ついに700番台突入。
760、778、心拍数が抑えきれない。
「あずさ…。」
横では心配する声が聞こえる。
「うそ…。」
これは俺の見間違い…?
「ど、どうなの?」
あまりの衝動に耐え切れなくなって、岬に抱きついてしまった。
「あった、あったよ。俺の番号…0794。岬!」
「ほ、ほんと?」
俺の受験表を取り上げ、同じ番号を探す。真っ白い紙の上には0794の番号がまだ見える。夢じゃないんだ…。
「やった!!やったあずさ!俺、すっげー嬉しい!さすが俺のあずさ!」
岬は嬉しさのあまり、俺を抱き上げてぐるぐると回りはじめた。
「わ、恥ずかしいって。」
「みんな自分の事でいっぱいで目に見えてないよ。」
確かに…。
ぐるぐると回るのをやめ、俺を抱き上げたまま岬は立ち止まった。
「あずさ、結婚しよう。」
いきなりのプロポーズ。
「でも、男同士だし…」
「そんなに関係ない。俺はあずさと一生を共にしたい。あずさしか考えられないんだ。」
「本当に俺でいいのか?後で後悔しても知らないぞ。」
嬉しさが一気に込み上げてきて、涙が出た。なんか最近の俺って、泣いてばかりいる。
「うん。結婚してあげる…!」
その誓いとして、キスをした。
「ねぇあずさ、知ってた?ここの大学と星川って結構近いんだ。」
帰り際に、教えてくれた。
「ほんと…?」
「そ…。だからさ、」
これは俺が言うんだ!
「いいよ。一緒に住んであげる。」
「そうこなくっちゃ!」
潤大近くの民宿に帰るやいなや、俺たちはじゃれまくった。これからの計画をじっくりと布団の中で練りながら…。
**あとがき**
これは鯉が高2の頃に仕上げた作品です。なので、受験についての知識がバラバラなんです。
いつ、推薦発表か、一次試験はいつ頃なのか、とか全然知らずに想像で書いたのです。
もぅ、書き直すのがしんどいので、修正無しで載せました(涙)
このお話、すっごくお気に入りで、「君1」作品では完成度がすごく高いと思っています。
この頃が、最盛期だったのよ…懐かしい。
この最終回っぽい作品をUPしましたけど、決して最終回ではありませんvv
高校生までのお話はココで終わりましたけど、まだ書きたい作品があるので。
では、ここまで読んで下さり、ありがとうございました♪感想お待ちしております。