こんなに君が好きなのに・4
その夜、俺は至の部屋まで押しかけた。同室の奴に悪いが、席をはずしてもらった。
「この前のキス、見たんだろ…?」
「…見てない。」
至は嘘をつくときは絶対に相手の顔を見ない癖がある。だから、親しい人にはすぐバレル。
「至…本当の事言ってくれないと、俺、弁解できないよ…」
至は嫌がるかもしれないけど、俺は至が大好きだよ。自分の理性が保てる間は大丈夫だけど、保てなくなったら
もうダメかもしれない。
「…見たよ。忘れ物取りに行ったら雅とハルがキスしてるの…。すごくショックで、裏切られた気分になった…」
必死に俺に訴える瞳。しまいにはその瞳から涙が流れ出て…
「い、至ー!な、泣くなーー。」
泣いている至をどう慰めていいのか、わからないんだ。
「あのキスは、雅がいきなりしてきて、よけ切れなかった。不可抗力だよ。」
強がっている至は不審そうに俺を見た。
「じゃあ俺とのキスは何か感じるのかよ。」
胸ぐらを引っ張られ、気づいた時には至の唇が触れていた。
「…っん。」
どちらの吐息かもわからない。突然のキスに驚きながらも抱きしめる。
「ハルっ、ハルっ、」
「至…」
俺の上に乗る形で至は俺とのキスを深めた。舌が侵入してくる。
これで興奮しないって方がおかしな話だ。ほんの2、3分。俺たちは深く繋がったままだった。
俺が嫌がらないのに安心したのか、全体重を俺に預けてきた。
なだれ込んで、くずれおちて、頭は君でいっぱい…
「ハルは俺が一生懸命アプローチしてるのに、全然気づかないんだよ。しまいにはラブレターもらうし、キスされるし。
どうしてそんなに鈍感なんだよ!」
「…ごめん。俺、至が好きって感情を隠すのに精一杯だった。」
「本当?本当に俺が好きなのか?」
「ああ、大好きだよ。」
大切な場面でウソをつくほど、卑怯ではない。
「キスをされて襲いたくなってしまった…」
「じゃあ襲えばいいのに。」
「そうもいかない。そろそろ同室の奴、帰ってくるだろ?」
「へへ。そうだった。」
少し鼻声で、可愛く笑った。至には笑顔が一番だね。
どちらが言うまでもなく自然と、シルエットが重なった…
「で、うまくいったの?イタル。」
次の日。雅は早々と俺らのクラスに来ては至に質問をした。
「おっ、お前のせいでなぁっ!」
「誰のおかげでうまくいったと思ってるんだよ。俺のキスって高いんだぜ。怒るよりも感謝してもらいたいね。」
…さすが雅。この学園の女王様なだけはある。そんな女王様の扱いさせたらNO1の優もやって来た。
「まぁ終わりよければ全て良しって事で。よかったね、イタル、ハル。」
「…うん。」
こうも素直に告白されるとかえって照れくさい。
「イタルは今度何にはまったの?目つきが違うよ。」
「…聞いて驚くなよ…俺は魔性の男になった!ハル限定で!」
その場を爆笑の渦に巻き込んだの至は、いつだって本気だ。でも、今度は長く続きそうな予感がする。
いや、続いてもらわないと困る。
「さて、それはいつまで続くのやら…」
「今度こそ、本気だ!なっ、ハル。」
太陽のような元気いっぱいの笑顔で至は俺に飛びついた。
…確かに魔性の男だ、俺限定で。
END