こんなに君が好きなのに・3
雅の言う通り、呼び出された内容は告白だった。でも、なんで俺なのかがわからない。
俺は皆が言うように、スポーツも性格も普通の男。特別なことなんて何一つ持ち合わせていない。
至に相談しようと声をかけてみたが「ごめん、用事…」と言ってはすぐにどこかに行ってしまう。
それは雅とキスをしてからの翌日の出来事だった。至はいつもと様子が違った。
あの、トラブル・ムードメーカが俺らに絡んで来ない。
「至、移動教室行こう。」
「――うん。」
間の空いてからの小さな返事。目もあわせてくれないし、話もしてくれない。
行く時も、歩いている時も沈黙を守り続けられた。
何を考えているの至?
「優〜至が変なんだ。」
「だね。見たらわかったよ。」
剣道の稽古中。恐縮になりながらも訪れてみると優は少しだけ抜け出してくれた。
「何でかなぁ。俺、悪いことした?」
「…いつから。」
「二日前だと思う。」
「ふぅ〜ん。ハルが雅とキスをした次の日からか。」
耳を疑った。まさか、優の口からそんな話題が出るなんて夢にも思わなかったから。
「あいつ、すぐ人をからかうんだ。ホント、一体アレで何人の男を惑わしてるんだか。」
あきれ返った様子で、優はため息をついた。
俺は俺で、雅とのキスでは何も思わなかったのが正直な感想で。あ、でもまつ毛、長かったなぁ。
でもそれが、至とだったらどうだろうか。
「イタルはキスシーンを見たんだよ。かわいそうに。まさか親友だと思ってた二人がキスしてたら、嫌だよねぇ。」
俺に何か責めるような口調で、眼差しは俺を捕らえて離さない。
雅とはまた違った魅力を持っている。
「俺、ちゃんと話すよ、至に。アレは事故で、不可抗力だって。」
「ついでに告白しちゃえば。」
「えっ…何で知って…」
「俺から見たらバレバレ。ったく。さっさと仲直りして欲しいね。」
優は、俺を元気付けてくれて、軽く笑ったのであった。