迷子の春風
あの日から…心臓がおかしいんだ…
あいつを見るだけで、胸がドキドキして止まらなくなる―――
朝。
皆が起きるより一時間は早く起きた。この一時間で完全目を覚ましとないと、寝ぼけたままで登校する事になる。
ボ〜〜っとすること一時間。やっと目覚まし時計が声を張り上げた。
「んっあー!目がなんとか覚めた。」
上のベッドではまだルームメイトが気持ちよさそうに寝息を立てている。寝起きの良い奴はいいよな。
登校ギリギリまで寝てられるし。なんて、無情な事、いってはダメだよね。ちゃんと起こしてあげないと遅刻しちゃうな。
「おーい。起きないと遅刻するよーー。」
寝相が良いとは言いずらく、布団をグチャグチャにしてだらしなく、眠っていた。
「ん〜ねむい〜。。。」
「眠くても起きる!早くしないと村田君が迎えに来るよ。」
「え!天(たかし)が!あ〜そうだった…忘れてた…」
僕のルームメイト、大谷昇と村田天はゾクに言う、恋人だったりする。去年まで同じ部屋だったんだけど、
二年に進級してしまい、今となってはバラバラらしいのだ。
テキパキとベッドの上の昇を残し、制服に着替え、全ての準備を整える。
「あ〜あ。なんで今年はB組み落ちで天はS組に昇進なんだよ。」
「僕なんか今年もB組だったんだよ、文句言わない。」
過ぎ去った事にブーブーと文句をたれる。きっと僕は来年もB組だと思うな。
Aまであと一歩だったって先生が言ってたけど、残念。僕の努力が足りなかったんだ。
時計をチラっと見ると、7時20分を指していた。…そろそろ来るはず。
「昇、もう行くね。」
「おう。教室でな。」
部屋を出るとすでに、彼がいて、僕を待っていた。
「楓さん、おはようございます。今日はよく眠れましたか?」
僕より少し高い目線。そして、礼儀正しい喋り方。
「よくあきないね。毎日毎日、お迎えに来て。」
ニコニコ顔の彼には、僕の精一杯の嫌味は通用しない。
「楓さんに一日も早く会いたくて、今日も朝を起きました。」
なんて厚顔無恥な奴なんだ!
彼は日下智季。京都出身で、京都、大阪、神戸と主に関西では有名な呉服店の長男。
そして、高後学園の一年S組。
出会いはとても簡単だった。僕が高後学園に一日体験入学に来た時、間違って中学校舎に入ってしまった時、
道案内をしてくれたのが、智季だった。体験入学の帰り、こう言われた。
「必ずこの高校を合格して下さい。待っています。」
満面の笑みは絵本の中から出てきた王子様。それ以来、何故か高校は高後しかないとゆうような感じで猛勉強をしたのだ。
(だって高後はほとんどが内部性だけで、外部生はほとんど取らないんだよ!)
そして現在。僕は智季のおかげで下級生とはとても親しくなれたのだ。
「楓先輩、おはようございます。新学期からも仲良くしてください。」
「うん、こちらこそね。」
食堂にはまだ人が少ない。いつも挨拶をしてくれる人は、たいてい覚えた。そりゃ一年も経てば人の顔を覚えるだろうけど。
「楓さん、今年も僕はS組になれました。」
「ふーーん、あっそ。僕は今年もどうせB組だよ!どーせ一生SにもAにもなれないと思ってるんだろ。」
「楓さん、自分に皮肉を言うには止めてください。楓さんが良くても僕が嫌です。」
これが僕の悪い癖…らしい。誰もそんな事考えていないのに自分はそう思って勝ってに思い込む。
こーゆーのを被害妄想って言うらしいね。きっと昔の体験でこうなってしまったのだろうかと僕は思う。
「こら、智季。お前がそんな顔するんじゃない!」
こつん、と智季の頭を軽く叩く。
「…はい!」
「サッサと朝食食べよ、ホラ。」
早く早く、と智季を促して朝食を取りにいった―――