誘惑のエスコート・3

 

「あ、もしもし健太くん?俺だけど。今から行ってもいい?」

夜も10時にまわった頃。
友行はパン屋のバイト先で売れ残ったパンをもらって、健太の住むマンションへ歩いていた。
金、土は家庭教師のバイトで、月、火はパン屋でバイト。
日曜日は今まで何かと忙しくて厳かになっていた部屋の掃除や、洗濯やらをしていて一日が過ぎていった。
冬と秋の間、って事もあり辺りは暗い。
寒さの弱い友行は少し急ぎ足で健太の場所へと向かう。

「いらっしゃい。」
「はいお土産。健太くんの好きなカボチャパンが残ったから、もらってきたの。」
ガサ…と得意げにパンの入ったビニール袋を見せ、友行は二コリと笑う。
まだ少年らしさの残るこの笑顔は、強敵だ…と健太は思っている。
自分の邪まな気持ちが、段々と恥ずかしくなってくるのだ。
「…あがれば?お茶ぐらい出すし。」
「そう?ありがと。」
人一倍寒がりな友行は、素直に、それこそ何の警戒なしに嬉しそうに部屋へあがる。
今は身体が冷え切っているので、温かい飲み物が欲しかったのだ。
それも健太の入れる、温かいコーヒーかお茶。
今まで飲んだものよりも、数倍は美味しく感じるので、健太の煎れた飲み物が好きなのである。
喜々と笑う友行が入ったのを見届け健太は、鍵を閉める。
そして相手に気づかれないように、ニヤリと笑みを浮かべたのだ。

「パン、ここに置いとくね。」
ココのキッチンで何回か料理をした事があるので、大体の勝手はわかる。
あまり活用されていないテーブルにパンを置き、上着を脱いだ。
すると、後から足音を立てずに近づいて来た健太に気づけずにいた。
気づいた時には後から抱きしめられ、耳元に鼻をうずくめられていて、身動きができない状態。
健太の大きくて、男らしい手は何故か、友行の中心近くに置かれていて、もう一方は…服の中。
「…っちょ、健太…くんっ…」
弱いポイントを指で擦られ息が弾む。
「…今日、泊まって、行くんでしょ…?」
健太は友行のズボンのチャックをゆっくりと下ろし、本格的な前戯に移った。
耳たぶを甘噛みされると、友行は力が抜けていくのがわかるのだ。
ソコも性感帯の一部である事は、すでに発見済み。
「あっ…ん。コレ…届けに……来た、だけ…」
負けじと抵抗してみるも、身体は言うことを聞いてくれない。
聞いてくれないどころか、友行の言いなり…。
「…ホラ…ここも、ここも…泊まりたいって…言ってる……」
胸の突起を指で弾くと、身体の中心が波打つのがわかった。
後からも前からも攻められて、友行は力が抜ける一方である。
中々YESを出してくれない友行に、掠れた声でとどめをさした。

「泊まって…行くんでしょ…?」
「…んっ」
その返事があると同時に、友行を床に押し倒した。
二人ともベッドまで待てずに、キスを貪りあう。
台所の床はヒンヤリと冷たかったが、そんなのは途中から気にならなくなるのである。


翌朝。
携帯電話にセットしてあった目覚まし時計が大きく声をはりあげた。
「…高永さん、朝ですよ。」
「んっ…」
あまりにもツボを擽る寝顔にかすれ声。
思わずキスをしてしまったけど、コレは不可抗力であると健太は自分に言い訳をした。
昨日、一回は台所で。二回目はベッド。
イッたばかりで動けない友行をお姫様抱っこして運ぶのは気分が良かった。
健太の胸元で小さく顔を隠してはいるけど、うなじまで紅く染まっていた、
それがまた照れてるのを強調しているのに、友行は気づいていない。

夢心地でフワフワしてる時に、口の中に何かが侵入してき、流石の友行も起きてしまう。
「おはよ、高永さん。良く眠れた?」
「…もうっ」
膨れっ面の恋人が可愛くて、思わず笑ってしまった健太であった。

 

「あ、作田、おはよー。」
「…お前、早速ん家に泊まったやろ。」
「えっ!何で解ったの!?」
「…服が昨日と同じや。」

 

 

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