魅惑のエスコート 8

「お前さ、友行とどういう関係なの?」
翔一は敵対心丸出しで、俺に威嚇してきた。
突き刺さるような視線を全身にあび、少し身が引ける。
でも、ココで退いたら俺の負けになってしまう。退く事は許されない。
こいつは身長が高いうえに、細身のジーパンがモデルみたいにフィットしていた。
「恋人ですけど。」
俺は怯むことなく、胸を張って答えた。
心なしか、拳に力が入る。
「ふーん。相変わらず友は面食いだな。あいつとはもう寝たんだろ?」
「………。」
「あいつ、巧いだろ?俺が教えたんだ。」
翔一はイヤな笑みを浮かべた。
「…高永さんはどこにいるんですか。」
こいつなら知っているかもしれないと思い、高永さんの居場所を尋ねてみた。
翔一は可笑しそうに鼻で笑い出し、おたかも俺を見下した。
そんな目で見られたら俺じゃなくても腹が立つ。
「知ってるのか知ってないのか、どっちなんですか!」
「友行は俺と一緒にいるぜ。勝手に恋人なんて作るから、おしおきの最中なんだ。
では、俺はこれで。お前なんかと話してたくないしね。」
翔一は俺を睨み、その場を立ち去った。
今追えばわかる。高永さんのいる場所が。
あいつが去った後、不安と心配が胸を支配し、その場から動けずにいた。
高永さんがあいつと一緒にいるのは確かなんだ。
おしおき…って、一体何をされてるんだよ。
一人の人のことでこんなに頭も心もいっぱいになるなんて初めての経験でどうしたらいいのかわからない。
でも、一つわかる事がある。
何かあっても高永さんを捕まえて話を聞かないといけない。
明日から俺は本格的に高永さんを捕まえるのである。


思いもしなかった…。
人探しってこんなに大変で体力がいるなんて。
暑い外を何回も行ったり来たり。校内でもクマのようにウロウロ。
高永さんが行きそうな場所が全然思い当たらなく、終いには理工学科の人に尋ねてしまった。
「―…待って…!」
俺の顔を見るなり、逃げ出したのは約二週間ぶりの恋人。
丁度葉と葉が重なり合って木陰ができてる石階段に俺は座り、ボォ〜と休息と取っていた。
売店で買ったパックの牛乳を飲みながらただ、ボォ〜としていた。
そんな中、遠くで一人歩いている高永さんを見つけたのだ。
大声で名前を呼んで、近くまで駆け出した刹那、彼は俺に背を向け逃げ出してしまったのだ。
「高永さんっ。」
このくそ暑い中、誰が好んで外で追いかけっこなんてするんだよ。
俺だって好きで走ってるんじゃない!
校舎から見る俺らの姿は妙に滑稽だったと、後に鉄が教えてくれた。
「待ってください…!」
「待てと言われて、待つ人なんかいないよっ。」
「高永さんが俺を避けてるから、追いかけてるんですっ!」
「さ、避けてないよ!」
「避けてます!」
俺は中高時代、陸上部だった。陸上部で鍛えた脚はまだ健在で、高永さんとの距離をグングンと縮めている。
そして、ついに…
「―…わっ!!」
高永さんにダイブをした。
「…つ、つかまえた…。」
逃げられないようにしっかりとリストバンドされてる手首を掴み、高永さんの上にまたがってしまった。
「健太くん、重いよ。」
高永さんは息を切らしてるくせに、クスクスと笑い出し、身をよじらせた。
ジンワリとくる体温。おまけにこの気温。
リストバンド、蒸し暑くはないのだろうか。
「…もう、逃げたりしないから、のいてくれる?」
「あ、はい…。」
柔らかな微笑みを浮かべられたので、素直にも頷いてしまった。
この人はウソをつかない。それだけは信用できる。
「高永さん、あの、話があるんです。」
「丁度良かった。僕も健太くんに話があるんだ。
「じゃあ場所変えません?ここ、暑いし…」
何かと理由をつけ、俺の部屋まできてもらうことにした。

 

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