神様がいないとしても…4

 

 

 

 

 

三時間目で俺は気づいた。
小笠原の雰囲気がいつもとは違う事に。
俺は小笠原より後ろの席なので、何かと目につく。
何回も目を細めては黒板を睨みつけて、体が前に乗り出している。

三時間目が終り、4時間目が始まるまでの10分休憩。
俺はトイレには行かずに、小笠原の席まで行った。

「おい、小笠原そうしたんだ?何か様子が変だけど。」
「あ…清水…別に何でもないよ。」
「うそつけ。いつもと違うよ。」
自分が清水の視界に入ってたの?って表情を見せたコイツは、なんだか可愛い。
普段、人と接しないぶん、余計にそう思うのだろう。
他の奴はどうか知らないけど、俺はお前の事視界に入ってるぜ。
「…コンタクト忘れて、ほとんど黒板の字が見えないんだ。黒板の字だけじゃなく、周りが全部ぼやけて……」
黒い大きな瞳で俺を見上げ、桜色した唇が動く。
それだけで ドキン とした俺は、何故か焦ってしまい、小笠原の言葉の続きを遮った。
「ならノート貸してやるよ。」
「いいよ別に。」
「テストの時、ないと困るだろ?」
断る小笠原の肩をポンポンと軽くたたき、俺は早速さっきの授業のノートを持ってきた。
「…ありがと。」
「字、汚いけど、なんとか解読して読んでくれ。」
「そんなに汚くないよ。」
ノートを数枚めくり、小笠原は俺に微笑んだ。
「な、なぁ。今日、遊んで帰らないか?」
それはとっさに声に出した、精一杯のごまかしだ。
もちろん、俺への。
このままだと、小笠原に触れてしまいそうだった。それほどに、俺の心を刺激したんだ。
他の奴を誘うのは簡単なのに、コイツは照れくさい。
「…お見舞いはいいの?」

あんなに津田に会いたがってるくせに

小笠原の瞳が、そう言ったみたいに閉じられた。
「一日ぐらいいいって。な」
津田に負けず劣らずの長い睫が静かに開き、大きな瞳に俺の顔が映った。
「俺でいいなら…」
小笠原は照れくさそうに頷いてくれたのだ。
俺は、小笠原の仕草の一つ一つが愛しく思えてきた。
知れば知るほど、お前を知りたくなる……

 

 

 

 

 

「和月、本当にアレでいいのか…?」
俺は呼び出された指定の場所まで行った。
ここは、先生専用の部屋であって、いつも薄暗い。
中から鍵をかけられるようになっているので、俺は鍵をかけた。
それは、先生と会う時にする約束事となっている。
「いいんですか、源先生…」
ソファーに座った先生は、隣に座るように合図をした。
俺は気が進まないけど、座るしかない。
「…源先生、ね。二人きりの時あいつも通りに呼んでくれていいのに。」
「いいえ、学校では公私混同はいたしません。」
肩を抱き寄せられて、キスを奪われる。
「なら、あのお願いはどうなんだよ…」
「…あれは……」
場が悪い。
俺は源先生に弱みを握られている立場にいる。
「咲子も可愛そうに。こんな奴と…だなんてなぁ。」
「仕方ないんです。俺だって本当は……」
「辛くなったらいつでもここに来い。俺は昔から、ずっと、お前の見方だ。逃げ場になってやる。」
俺の心境を知っている源先生は、やさしく抱きしめてくれた。
「…ありがとうございます。和十さん…。」

 

 

 

 

「よぉーし。今日遊びに行くメンバーは俺。小笠原に矢田、榎木の4人。以上!」
「おー!」
「おー!」
遊ぶなら皆で遊んだ方が楽しいと思い、矢田と榎木を誘ってみた。
クラスから遠巻きにされてる小笠原が相手だと嫌がるかなー?と思っていたけど、あいつらは二つ返事でOKをくれた。
どうやら小笠原に対する評価が変わってきているらしい。
小笠原が俺と接することで、少しづつ変化してきたのかもしれない。
「で、どこ行く?」
何も考えずに4人で駅まで来たのはいいけど、肝心な遊ぶ場所が決まっていない。
「やっぱゲーセン?小笠原は?」
「んーーー。あんまり遊んだ事ないから、任せるよ。」
視線を俺に送った。
「じゃあボーリング?」
「バッティングセンターとかもある!」
…結局決まったのは、3時間1500円で遊び放題の施設であった。

 

 

 

 

 

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